赤川次郎 双葉文庫
ガウンの胸から腹の辺りにかけて、赤く血が広がっている。 その真中に、ポカッと空虚な穴があいている。
死んでいるのは、ベッドの上。
頭が端から落ちて、逆さになっている。 長い髪が、床へ届くかと思うほどだ。
「拳銃は?」と女が訊く。 「そこ…」と男が答える。
女は、男がそこに住んでいた気配をすべて拭いきるように命じ、二人は姿を消した。 未明の、都会の出来ごとだった。
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