「狼男、ね…」私は、首を振った
「変身したんですって?」
「それは知らないけど…」と哲平は肩をすくめて、ベッドサイドテーブルの上のタバコに手を伸した。
「ベッドの中じゃ喫わないって約束よ」
「あ、ごめん―ついくせになってるんだ」。
お説教じみた言い方になってしまうのは、八つも年齢が違うせいか。
私の名は宮島令子。
J大学社会学科の助教授で、独身35歳。
佐々木哲平、仕事の上でも、実生活でも、私の助手である。
「さあ、もう帰りましょう」と私は起き上った。
「まだ早いよ」と哲平。
「こういうことは、ちょっと物足りないくらいで、ちょうどいいのよ」…
人気随一の著者が、年上の女と青年の「ちょっといい関係」を舞台に彫りあげた「ホラーミステリー」。
目次
狼男 町を行く
吸血鬼の静かな眠り
呪いは本日のみ有効
受取人、不在につき―
帰って来た娘
避暑地の出来事
恋人たちの森
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赤川次郎の本